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中絶の実態 「胎児に申し訳ない」 受ける女性の思い

中絶の実態 「胎児に申し訳ない」 受ける女性の思い

(C)伊藤理佐

 このコラムでは、産婦人科医の立場で、みなさんに知っておいてもらいたい体と性の話をつづっています。今回は、前回に引き続き、人工妊娠中絶の話題です。

 私は高校生などを対象に講演することがありますが、その際に、「日本の人工妊娠中絶の実態はどうなっているのですか」「日本人は人工妊娠中絶についてどう考えているのですか」などの質問を受けることがあります。その答えは、これから紹介する、いくつかの統計の中にあります。

 わが国には、母体保護法という法律があります。人工妊娠中絶手術などについて規定しているもので、毎年度、衛生行政報告例(母体保護関係)によって、人工妊娠中絶の実態を知ることができます。最新の報告によれば、2018年度の中絶実施件数は16万1741件。1955年には117万件を超える届け出があったことを鑑みると、まさに隔世の感があります。減った原因は、日本人女性の社会的な地位の向上や、避妊のためのコンドームの普及、セックスに対する消極性などが関係していると考えられます。

 図1は、5歳ごとの階級別の中絶実施率をグラフにしたもので、分母を「女子人口」、分子を「中絶数」として、人口千人あたりの中絶実施率が計算されます。全体の中絶実施率は、6・4となっています。「20歳未満」については、15歳から19歳の中絶がほとんどですが、中には15歳未満で行われた中絶数も含まれます。

 このグラフだけを見ると、20歳未満での中絶実施率が他の年齢層に隠されてしまいます。他の年齢層に比べてセックス経験率が低い20歳未満の場合には、結果として妊娠、中絶件数も少なくなっているためです。

 そこで、図2のように、20歳未満だけを取り出してグラフを作製し直してみました。2001年をピーク(13・0)に、20歳未満についても中絶実施率は減少傾向を示していることがわかります。なぜ、中絶実施率が減少したのかについては、議論が分かれるところですが、僕自身は若い世代がセックスに積極的でなくなる「草食化」が大いに影響しているのではないかと考えています。

 表1は、年齢階級別の出生数、中絶数、中絶割合を示したものです。20歳未満は、18年に8778人の出生数でした。中絶割合は、中絶数を妊娠数(出生数と中絶数を加えた数)で割った値で、年齢が低いほど、中絶割合が高いことは一目瞭然です。若年の場合には、妊娠しても、それを受容できる可能性が低いわけで、その意味では、セックスするかしないかについて、他の年齢層以上に、真剣に考える必要があるということですよね。

■日本人女性の中絶経験率は10・4%

 日本家族計画協会では、02年から「男女の生活と意識に関する調査」を実施していますが、直近の16年(第8回調査)までの結果から、「中絶手術を受けた経験割合」「最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決めた理由」などを探ってみました。

 この調査は、16歳から49歳の男女3千人を対象に行ったものです。調査員が個別に訪問し、調査票を手渡し、回収する手間のかかる調査方法がとられています。サンプルの抽出が適切に行われていることから、この調査は全国を代表するものといえます。日本人女性の中絶経験率は10・4%で、このうち複数以上中絶を経験した「反復中絶率」は17・1%でした(図3)。

 「最初の人工妊娠中絶手術を受けることを決めた理由(女性)」(表2)を見ると、「経済的な余裕がない」(24・3%)、「身体が妊娠・出産に耐えられない」(2・9%)という理由のほか、「相手と結婚していないので産めない」(24・3%)、「自分の仕事・学業を中断したくない」(8・6%)などもありました。それぞれに深刻な事情があることがわかります。

■「胎児に対して申し訳ない気持ち」

 「最初の人工妊娠中絶を受ける時の気持ち」もたずねています(図4)。誰一人として、中絶をするために妊娠する人、セックスをする人はいません。でも、100%を約束できる避妊法がない以上、予期しない妊娠が突然起こることになります。その妊娠をやむを得ない事情で中断しなければならないときに、僕としては、「人生において必要な選択である」(17・1%)と受け止めることのできる女性であってほしいと願っています。これをセクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)といいます。しかし、残念ながら、わが国の場合、「胎児に対して申し訳ない気持ち」(58・6%)、「自分を責める気持ち」(17・1%)が大半を占めています。これでは、人工妊娠中絶手術の後にトラウマ(心的外傷)を残してしまいかねません。

 例えばドイツでは、中絶を求めてきた女性に対して、中絶を行う医師以外の者によるカウンセリングを受け、中絶日まで3日間ほど待機期間を持ってもらうとしています。この期間を経てもなお、中絶の意思が固ければ、そこで納得した上での中絶が行われます。キリスト教国などでは、宗教的な立場でのサポートが行われる国もあります。日本では、このあたりのサポートがまだまだ不十分で、中絶を巡る課題の一つとなっています。とにかく、今の段階では、この選択肢が自分にとって必要なのだと、十分に納得した上で人工妊娠中絶手術を受けてほしいものです。(アピタル・北村邦夫)

朝日新聞社

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